山本邸再び
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若葉萌え、風は薫る・・・



今年1月、お店のギャラリー展示のDM撮影の為に訪れた、
三鷹にある山本有三記念館に、『時間のしずく』のmikoさんと再訪。
その時の私の記事を見て下さったmikoさんが、ぜひ案内して欲しいと仰るので、
それならばと、歩くのに心地好い季節を待っての訪問となった。
またもう一つ、mikoさんがお父様から譲って頂いたと言う中判カメラ、「ブロニカ」で、
一緒に写真を撮りたいですねと、常々話をしていたのだけれど、
その企てが、幸運にも、今回同時に叶うこととなったのだ。

冬に足を運んだ時とは、随分と様変わりした山本邸の庭園風景。
生い茂る青紅葉の隙間を埋め尽くすようにして、白と薄紅のハナミズキの花びらが重なる。
そこを縫うように、時折、木立の瑞々しさを帯びた、クリスピーな風が吹き抜けてゆく。
「良い日だね」「きもちがいいね」、顔を見合わせては、頷く。

「みゆきさん、撮ってみなよ~」そうmikoさんに言われ、手渡された「ブロニカ」。
私にとっては、初めて触れる、中判カメラだ。
その予想以上の重さに、あたふたする。(多分、今まで触れたカメラの中では一番の重量。)
けれど、覗いたファインダー。そこに映し出された、鮮やかな陰影の画に、
しばし見惚れずには居られなかった。
さらに、もっと驚いたのは、そのシャッター音。
ガシャーン!
静かな庭園に響き渡る、「いま、たしかに、撮ったぞ!」と言わんばかりの高らかな勝どき。
ハッセルブラッド等の中判カメラを、”カメラの王様”と呼ぶ意味が、
少しだけ分かった気がした。

一方私はと言うと、1年ぶりにフィルムを装填したOlympus Pen Fでの久しぶりの撮影に、おろおろ。
レバーの巻き上げを2回しなくてはいけないのを、すっかり忘れていて、
何度かシャッターボタンが下りないと言う失態に見舞われてしまった。(いかん、いかん)


ランチを食べた後、お別れの時間にはまだ少し早いからと、
たまたま三鷹市芸術ギャラリーで開催されていた、『マリー・ローランサン展』を見ることに。
誰かと一緒に美術館へ行くと言うことが、殆どない私にとっては、とても稀有なこと。
私がそうしない理由。それは、一冊の小説を、2人で同時に読むことが出来ないのと一緒だ。
でも、何となく・・・何となくだけど、mikoさんとは”大丈夫”そうな気がして。

お互いの存在を、すっかり忘れてしまったかのごとく、館内に遊ぶ。

思えば、そう。この、万事においての爽やかな(善い意味での)”突き放し感”が、
私にとっては逆に安心で、でも、だからと言って、行交わす気持ちが放ったらかしなのかと言うと、
決してそうではなく、ただ、そうとは言わぬのが最高の気遣いでもあり、
だからこそ、この方と一緒に居て、いつも居心地が良いのだよなあと、慮る。

感性の胃袋もほどなく満たされようと言う、展示プログラム終了間際のことだった。
ベージュ色の絨毯の上に落ちた、木漏れ日の泉のような光たちを見つけた。
展示ライトからのものだろうか?きれい。
不思議に思って、因果関係を確認するけれど、どうも勝手が違う。
ふと、視線を、右側に掛けてある絵に移したその時だった。
「鏡だね~!」
前方に居たmikoさんが、まだ何も言わない私の心の内をすっかり読みきったかのように呟いたのだ。
その絵が収まっている額縁の下方には、不揃いな大きさにカットされた鏡が埋め込まれており、
そこに当たって反射したライトの光が、床にほろほろと溢れて居たのだった。

-やっぱり”大丈夫”だ。

本当は、まだまだ話は尽きなかったけれど、
今日、それぞれが読み終えた小説の感想を、そうっと互いの心に仕舞って、
魅惑の美術館を後にした。
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by hatsukoizitensha | 2014-04-23 20:26 | instax mini 90
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