人生で、もっとも贅沢な転寝
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ここは、もしかして、天国?
私、死んじゃったの?
そんな風に、目覚めることがあったとしたら
それは、あなたにとって、人生で、もっとも贅沢な転寝なのかも知れない。



国外で、鑑賞マナーに関して比較的”鷹揚”な美術館の雰囲気に馴染んでしまって以来、
国内の、作品を観に行っているのか?はたまた、人物の後頭部のコレクション展に来たのかと、
思い違いをしてしまいそうになる美術展から、自ずと足が遠のいていたのだけれど、
昨日初めて訪れた、三菱一号館美術館は、小ぢんまりとしたスペースの割に、
観る側が”集中してリラックス”(一見矛盾するようだけれど、これが美術鑑賞には大切なことのように思う)
出来るように、きめ細かな配慮と、心憎い演出が感じられる美術館だった。

フレデリック・レイトンの大キャンバスと向き合いながら、
ぼんやりと中央に設えられた椅子に座っていると、
もう15年以上も前に訪れた、オランダの国立美術館でのことを思い出した。

初めての海外旅行だった。
実はオランダに入る前は、ドイツのハイデルベルグと言う街に3泊ほどしていた。
5月だった。初夏のヨーロッパは、夜の10時を過ぎても日が暮れない。
生まれて初めて体験する「白夜」に、ついついテンションが上がり、
オマケに時差と言う”時の魔法”にもかかっていた私は、
来る日も、来る日も、夜更かしをしては、モノクロ写真のような宵の街を駆け回っていた。
疲れなど、まるで感じていなかった。そう、信じていた。
オランダに入国して2日目。アムステルダム国立美術館を訪れた。
私にとって、初めての海外での美術鑑賞。
当時、好きだったフェルメールとレンブラントの絵を心ゆくまで観ようと決めていた。

先ずは、その広さに圧倒された。
一枚の絵画のために割かれたスペースの、なんと、贅沢なこと。
階段、窓枠、天井、扉・・・美術館そのものが、すでに芸術作品と言っても良いくらい。
コツコツコツと、静かな館内には、自分の履いている靴の音が、
嫌味なくらいに響き渡る。
どこまで進んでも、この過去の創造世界から、抜け出せないんじゃないかと不安になったその時、
ようやく、お目当てのレンブラントの大きなキャンバスの前に到着した。

「ここに座ってもいいの?」と思いたくなるほど、背もたれの深い、豪奢なソファーに腰をかけると、
ほうっと、安堵とも疲労ともつかぬため息がこぼれた。
ようやく会えたね・・・嬉しさと、気恥ずかしさと、感動で、それを見つめていると、
自分が絵を見つめているのか、絵が私を見つめているのか、
どちらなのか分からない不思議な感覚に包まれる。
ああ、幸せだなあ・・・噛み締めていた、その時だった。
猛烈な眠気に襲われたのだ。
ソファーの心地良さもあったのかも知れないけれど、
一番の原因は、連日の睡眠不足と時差。
なんと私は、そこで居眠りを始めてしまったのだった。それもかなり深い質の。

たぶん、時間にしたら10分ないし15分であったと思う。
ああ、よく寝た・・ゆっくりと瞼を開いた私の瞳の中に、おもむろに飛び込んで来たのは、
先ほどまで眺めていた、レンブラントの絵画だった。
慌てた。それも、かなり。
「ここは、どこ?もしかして、天国?私、死んじゃった?」と、
真剣に、身体を触って、確認する。
生きてる。生きてた。そうか、ここは・・・・。
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by hatsukoizitensha | 2014-04-18 09:12 | instax mini 90
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